事業再生とは
事業再生とは、主に過剰債務を負いながら、事業から生まれるキャッシュフローだけではそれを返済することができない企業が、その状況を打開するために事業や財務の再構築を実行し、持続的な事業存続を可能にするプロセスをいいます。
簡単に言うと、倒産(破産)しそうな会社をなんとか存続させること。
企業はどんな時に倒産(破産)するのでしょうか?
A.ビジネスで損失(赤字)が出た時
B.現金が尽きた時
簡単!Bです。
赤字がいくら出ていようが、現金が続く限り会社は生き続けます。
お金には色(何で稼いだ?)がありません。
事業で稼ぎ出したお金なのか、自宅を担保に銀行から借りてきたお金なのか、支払の際、その由来を問われることは無くーーー1万円は1万円。諭吉さんは諭吉さんなのです。
というわけで、「現金」が無くなった会社を助けるには、「現金を与える」か、「現金を支払う理由を無くす」のどちらかを行うことになります。
これ、すなわち事業再生。
「現金を与える。」ーーー新たにカネを貸す。出資する。
「現金を支払う理由を無くす。」ーーー支払を延期する。借金を無かったことにしてあげる。
文字にするとスゴイですね。潰れそうな会社に対して、お金を貸したり、貸したお金を勘弁してあげたりするっていうことです。
だれが?
主に金融機関(銀行)ですね。
何のために?
さあ、銀行は何のために借金を減額するのでしょう?
その会社の従業員の雇用を維持するため?
地域経済を弱体化させないため?
これらも事業再生の目的としてよく示されている内容です。
これらも確かに理由になります。・・・が、私は、これだけでは銀行は借金の減額に応じることはできないと思います。
銀行も民間企業で、株主もいます。経営者は大きな責任を負って会社を運営しています。いくら地域経済のためだといっても、他の会社にただお金をあげるだけ、というようなことが許されるのでしょうか?
許されません。少なくとも私は許しません。
銀行が借金の減額に応じるのは、
「応じなかった時よりも多くの貸金が回収できる」からです。
事業再生の計画を立て、銀行にその内容を説明し、借金の減額をお願いした場合に、銀行の担当者は考えます。
「もし、Noと言ったら、いついつぐらいにはこの会社は現金が尽きて事実上倒産するなぁ。その場合、うちの銀行に入ってくる金額は・・・」
と、倒産した場合の回収額を見積もります。
事業再生計画による回収額が、倒産した時の回収額より十分に多く、さらにその計画の実現可能性が高いなど、納得できるものである場合に、初めて銀行は借金の減額に応じることができます。
銀行の株主から見ても、回収額が大きい方が株主利益に合致しています。
と、いうことで事業再生とはこのようなロジックで実現される、倒れかけた事業を生き残らせる方法なのです。