事業再生の「自力再建型」と「スポンサー型」の違い
事業再生には、「自力再建型」と「スポンサー型」という2通りのタイプがあります。
自力は読んで字のごとく、「自ら」の「チカラ」で再建する事業再生。
スポンサーは付かないので、経営改善を行うことで自らの事業から生み出す収益に磨きをかけ、その事業収益で負債の返済を行う方法です。
スポンサー型は、その再生対象企業が行う事業に興味を持った企業が、最終的に対象企業を傘下に収め、その主導のもと事業拡大を図ろうとする事業再生です。
スポンサーから資金や人材の援助が考えられます。
スポンサーは何にメリットを感じて再生対象企業の支援を行うのでしょうか?
銀行の話と同様、こちらも経済的なメリット・合理性が無くてはいけません。
その理由として挙げられるのは
2.スポンサー企業の商流上、再生対象企業が倒産すると困ってしまうケース
3.両社の特別な関係、その他
1の「シナジー」。簡単に言うと「相乗効果」
例えば、下記のようなポイントがシナジーと言われるものです。
・スポンサー企業と再生対象企業は製造業で、同じ種類の原材料を仕入れていた。両社合わせて仕入を行うことによって、大幅な仕入原価の低減が見込める。
・再生対象企業の商品をスポンサー企業の販路で販売することによって、今まで以上の売上の増加が見込める。
2のスポンサー企業の商流上、という理由としては
例えば、再生対象企業はその地域唯一の販売代理店で、消滅してしまうとスポンサー企業の商品を販売してくれる企業が無くなってしまう!などが上げられます。
上記の2点は、経済合理性を持っていると言ってよいと思いますが、次の3はなかなかそうは言えないですよね。
例えば、再生対象企業の社長がスポンサー企業の社長の弟だった、とか。
血縁は無かったけど、地域の名士として通っているスポンサー企業の社長が、世間体上、スポンサーとして引き受けないわけにいかない、とか。
3番はよほどスポンサーの経済的な体力が強くないと、その後大変なことになるパターンが多いです。
スポンサー型のどのパターンだとしても、資金や人材、業務上の支援なんかを受けながら、スポンサー企業が主導して再生を図っていくことになります。最終的にはスポンサー企業の傘下に入るわけで。。。」。
事業再生を行う場合、どちらで行えば良いのか?という疑問が起きるわけですが、まずは「自力再建型」で検討し、経営改善を行いつつ、スポンサーを探す、という形がベストな場合が多く見られます。自力再建で再生できれば、他社の傘下に入ることなく再生ができるからです。
しかし、いずれの再生方法の場合であっても、経営改善によって「営業黒字」をしっかり出せなければ長続きはしません。
銀行、スポンサー、どちらからにしろ、出してもらったお金と事業で稼いだお金。
お金に色はついていませんが、いつまでたっても事業でお金を生み出せないとしたら、そんな事業をいつまでも養うヒトはいない、っていう事ですね。